彼は炊き出しを食べて、街をさまよった。将来の事を考えると頭がずきずきする。もう何も考えるのはやめようと思うのだが頭が勝手に働いて思考をやめる事はない。それは人間の本能である。何も考えないでいるような知的障害を持っている人もいるが彼等だって何も考えていない訳ではないと思う。求人か。彼は吐き捨てるようにそうつぶやいた。その言葉が彼の頭の中を駆け巡っていた。忘れよう、忘れようと思っても執着しているのでそう簡単には消える事はない。彼は少ない貯金の事を考えた。あれでどれくらいもつのかまるで見当もつかない。一ヶ月、三ヶ月そんなものだろうか。だから仕方なく炊き出しに並んでいるのだ。時には吉野家の牛丼でも食べたかった。焼肉でも腹いっぱい頬張りたかった。それも今は出来ない。悲しいけど仕方がない。彼は暇を持て余しているのでよく図書館を利用する。昔まともに暮らしていた時からよく通っていた。こんな転落の人生が待っているなんて。
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